塗床と防水の違いとは?施工の目的・材料・場所を徹底比較

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建物の床や屋上に関する工事を調べていると、よく見かけるのが「塗床(ぬりゆか)」と「防水」という言葉。どちらも表面に何かを塗るという点では共通していますが、実際には目的も素材も施工方法もまったく異なります。しかし、工場や施設の管理を任されている立場の方でも、この違いを正しく説明できる人は案外少ないのではないでしょうか。


「床を保護したいけど、塗床と防水ってどっちが正解?」「防水工事で床も強くなるの?」といった疑問を抱いたことがある方にとって、この記事はそのヒントとなるはずです。塗床と防水、それぞれの役割や使われる場所の違い、どんなケースで選ぶべきかなど、判断に迷いやすいポイントをやさしく整理してお伝えします。




役割の違い:塗床=床の機能強化、防水=建物の水対策

塗床と防水工事は、どちらも床面や建物表面を保護するために行われる施工ですが、その目的は大きく異なります。塗床は主に「床を強くする」ための工事であり、耐久性・耐摩耗性・耐薬品性など、日常的な使用に耐えるための機能性を高めることに重点が置かれています。一方、防水工事は読んで字のごとく、「水の侵入を防ぐ」ことが最大の目的です。屋上やベランダ、外壁など、雨水や結露などによる浸水被害から建物を守るために行われます。


たとえば、食品工場や整備工場のように床が薬品や重機にさらされる現場では、滑りにくさや衝撃耐性が求められるため塗床が適しています。反対に、屋上や陸屋根といった場所で水はけの悪さが問題となる場合は、アスファルト防水やウレタン防水といった「防水」工事の出番となります。


両者を混同したまま進めてしまうと、必要な性能を満たせなかったり、早期に劣化したりといった失敗につながりかねません。まずは、それぞれが「何を防ぐためのものなのか」を明確に把握することが、適切な工事を選ぶ第一歩です。




使われる材料の違い:耐久性・柔軟性・防滑性の観点から

塗床と防水では、使用される材料にも明確な違いがあります。塗床に使われる代表的な材料は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂など。これらは、床面に強度を与えるために開発された素材で、硬化後には高い耐摩耗性や耐薬品性を発揮します。エポキシは硬く美しい仕上がりになる反面、衝撃にはやや弱く、ウレタンは柔軟性に優れる分、軽歩行向けの用途に適しています。


一方、防水工事では、アスファルト、シート防水、FRP(繊維強化プラスチック)、そしてウレタンなどが使用されます。ここで注意したいのが、同じ「ウレタン」という言葉が塗床にも防水にも登場する点です。実際には目的や成分が異なり、防水用のウレタンは特に水密性を重視して配合されています。


また、塗床では滑りにくさや耐衝撃性といった「物理的な強さ」が求められ、防水では「水を通さない密閉性」や「下地への追従性」が重視されます。素材の特性は、求める機能によって大きく変わるため、「似た名前だから」と安易に選ぶと、施工後に不満が残る原因となります。目的と性能に即した素材選びが、施工の成否を大きく左右するのです。




施工対象と場所の違い:床 vs 壁・屋上・ベランダ

塗床と防水では、そもそも施工する「場所」そのものが大きく異なります。塗床の対象となるのは、あくまでも「床」。それも、屋内外を問わず、人や車が頻繁に出入りするような場所が中心です。食品工場や整備工場、倉庫、駐車場、厨房、さらには病院の通路まで、用途は多岐にわたります。いずれの場合も、床面に直接的な負荷がかかることが前提となっており、それに耐える機能が求められます。


一方、防水工事の施工対象は、「水の侵入リスクがある部位」です。屋上やベランダ、バルコニー、外階段、外壁など、雨や湿気による漏水の恐れがある箇所が該当します。特に建物の最上階や庇(ひさし)部分などでは、防水層が一度でも劣化すれば室内にまで水がしみ出すおそれがあり、建物全体の寿命を縮める原因になります。


ここで注意したいのは、「床だから塗床、屋外だから防水」と一概には言えない点です。たとえば屋上駐車場のように、人や車が通行する屋外の床面では、耐摩耗性と防水性の両方が求められることがあります。こうしたケースでは、塗床と防水を適切に併用した複合的な施工が必要です。現場の構造や使用目的に応じて、どのような機能を優先するかを整理した上で、適切な工法を選定することが重要です。




併用すべきケースも?塗床と防水の組み合わせ施工とは

現場によっては、塗床と防水のどちらか一方では機能的に不十分なことがあります。そうした場合に有効なのが、両者を併用する「ハイブリッド施工」です。特に多いのが、屋外にある通路や駐車スペース、屋上緑化部分の管理区域など。こうした場所では、雨水の侵入を防ぐ防水性と、日々の使用に耐える床強度の両立が求められます。


たとえば屋上の機械室前の通路。ここは定期的に作業員が出入りするだけでなく、強い直射日光や風雨にもさらされる環境です。このような場所に塗床材だけを施工しても、水の浸入に対する備えが足りません。逆に、防水だけでは人の通行による摩耗に耐えられないことがあります。そこで、防水層の上に塗床を重ねる二重構造にすることで、両方の性能を確保することができます。


また、工場の中でも水や薬品を使う作業エリアなどは、わずかな隙間からの液体の侵入がトラブルを招くこともあります。こうしたリスクを回避するため、防水性を備えたウレタン塗床などを用いて「塗床+防水」の役割を一体化させた施工が有効になります。


施工内容が複雑になる分、現場調査の精度や、素材の相性、工程管理の丁寧さが必要とされます。その点で、塗床と防水の両方に対応できる業者に依頼することで、工程もスムーズになり、完成度の高い仕上がりを実現できます。


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失敗しない業者選び:塗床・防水を一括対応できる会社の価値

塗床と防水、それぞれに専門性があり、使われる材料や工法も異なるからこそ、依頼先の選定は慎重に行う必要があります。特に併用が必要なケースでは、施工の順序や材料の相性に関する知識と経験が問われます。現場の状況にあわせて柔軟に提案できる力、そして下地から仕上げまでを一括して管理できる体制こそが、品質の高い施工を実現する鍵となります。


「塗床業者に頼んだけど、結局防水は別会社…」「防水をやってもらったのに床がすぐ傷む…」といった後悔を避けるためにも、両方の専門知識を持つ業者に相談することをおすすめします。自社の環境に本当に必要な施工とは何か、ぜひプロの目線で見直してみてください。


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