厨房の床、滑っていませんか?衛生・安全を守る『塗床工事』の基本

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厨房は、常に水や油が飛び交い、調理器具や台車が行き交う過酷な環境です。日々の掃除を丁寧にしていても、気がつけば床が黒ずんでいたり、ぬめりが残っていたり…。そんな状態の床は、見た目の問題にとどまらず、すべり事故や衛生面でのリスクにつながります。実際、飲食業の労働災害で最も多いのは「転倒」によるものだと言われています。


また、床のひび割れや剥がれが進むと、そこに汚れや菌が入り込み、掃除をしても取りきれなくなります。結果的に、衛生管理が難しくなり、最悪の場合、営業停止処分のきっかけになることもあります。とくにHACCP(食品衛生管理基準)への対応が求められる昨今、厨房の床が「見た目以上に重要な設備」であることに、気づいている方はまだ少数派かもしれません。


「滑りやすい」「汚れが落ちない」「床が劣化している」──そんな悩みがあるなら、それは“塗床”による改善のサインです。厨房というプロの現場で、安全と衛生を守るには、床の環境整備が出発点となります。




なぜ「塗床」が厨房の衛生管理に効果的なのか

厨房における塗床(ぬりゆか)工事とは、コンクリートなどの下地の上に専用の樹脂を塗布し、耐久性や衛生面を強化する施工のことです。一般的な床材では、水や油が染み込んだり、長年の使用で表面が削れたりするため、どうしても不衛生になりがちです。その点、塗床は床の表面を一体化させてシームレスに仕上げるため、汚れが入り込みにくく、掃除もしやすくなります。


さらに、塗床には防滑(ぼうかつ)性のある仕上げが可能です。微細な凹凸をつけることで、水や油で濡れていても足元が滑りにくくなり、転倒事故の予防につながります。また、抗菌性や耐薬品性のある塗料を使用すれば、調理中にこぼれた調味料や洗剤にも強く、衛生的な状態を長く保つことができます。


HACCPの導入が広がる中で、床面の衛生性は厨房全体の評価に直結します。器具の消毒や空調の清掃だけでなく、「菌を寄せつけない床づくり」が、厨房運営の基礎になっているのです。表面の美しさだけでなく、長期的な衛生管理を考える上でも、塗床は極めて有効な対策といえるでしょう。




塗床材の種類と特徴|用途に応じた選び方のポイント

ひと口に塗床といっても、使用される樹脂にはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。厨房に適した塗床材を選ぶには、使用環境・頻度・求める機能性に合わせた判断が不可欠です。


まず、食品工場や飲食店などでよく使われるのが「エポキシ樹脂」です。密着性が高く、見た目も美しく仕上がるため、軽度の作業環境や既存床の補修に向いています。ただし、熱や衝撃にはやや弱いため、高温器具を扱う厨房では不向きなケースもあります。


次に「ウレタン樹脂」は、耐熱性と耐衝撃性に優れ、厨房のような高温多湿かつハードな現場に適しています。熱湯のこぼれや頻繁な清掃にも耐えやすく、強度と柔軟性のバランスが取れています。床材の膨張や収縮にも追従しやすいため、施工後のひび割れも起きにくいのが特徴です。


そのほか、においを抑えたい場合には「無溶剤タイプ」の塗料を選ぶ、すぐに営業を再開したい場合は「速乾型」の仕様を選ぶなど、目的に応じた選定が可能です。こうした判断は専門知識が求められるため、現場の条件を丁寧に確認し、適切な塗床材を提案してくれる業者に相談するのが安心です。




厨房塗床工事の流れと必要日数|営業への影響は?

塗床工事というと、大がかりで長期間の工事を想像される方も多いかもしれません。ですが、厨房の規模や現場の状態に応じては、短期間での施工も可能です。特に耐久性の高いウレタン系塗床などは、速乾性タイプを選ぶことで、夜間や定休日の施工にも対応できるケースがあります。


工事の一般的な流れは、まず「現場調査」から始まります。床の傷み具合や既存の仕上げ材、使用状況などを確認した上で、最適な塗料や工法が選定されます。次に「下地処理」を行い、油分やホコリなどを完全に除去したうえで、必要に応じてクラック(ひび割れ)や段差の補修も実施。その後、「プライマー塗布」「主材の施工」「トップコート仕上げ」という順で作業が進みます。


工期の目安としては、小規模な厨房であれば2~3日、中~大規模であっても1週間程度が一般的です。ただし、下地の状態が悪く、全面的な補修が必要な場合はその限りではありません。また、施工中は厨房の使用ができなくなるため、あらかじめ営業スケジュールに合わせた工期調整が必要です。


最近では、24時間体制での工事や段階施工に対応できる業者も増えています。厨房を止める時間を最小限に抑えながら、衛生と安全のレベルを上げるには、事前の打ち合わせと柔軟な工程管理が重要です。




費用はどのくらい?コスト感と見積もりの見方

厨房の塗床工事にかかる費用は、面積、塗料の種類、下地の状態、施工方法によって大きく異なります。一般的な目安としては、1㎡あたり5,000円〜15,000円程度が相場とされますが、「どこまでの下地補修が必要か」「どのグレードの塗料を使うか」によって、同じ面積でも価格が倍近く変わることもあります。


たとえば、下地が比較的きれいで補修が少なくて済む場合は比較的安価に済みます。一方、油染みが激しい場合や、既存床を剥がしてから施工する必要がある場合は、その分費用が上乗せされる傾向にあります。また、耐熱性や防滑性、抗菌性などの機能を持つ特殊な塗料を使用する場合も、コストは上がります。


見積書を確認する際には、「下地処理費用」「塗材費用」「施工費」「養生費」「交通費」などが明確に分けられているかをチェックしましょう。中には一式表示でわかりにくい業者もあるため、曖昧な項目があれば必ず説明を求めることが大切です。


価格だけで業者を選ぶと、安価な塗料や手抜き施工につながるリスクもあります。適正価格で、現場の条件に合った提案をしてくれる業者こそが、厨房という特殊環境における「本当の信頼先」といえるでしょう。


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まとめ|衛生基準対応や事故防止の第一歩としての塗床選び

厨房の塗床は、見た目の美しさを整えるだけでなく、衛生管理や労働環境の安全性を支える“縁の下の力持ち”です。床が整っていれば、清掃効率が上がり、油汚れも残りにくくなります。すべりにくい仕様にすれば、従業員の転倒事故も減り、結果的に職場全体の生産性と安心感が高まります。


近年はHACCP対応が求められる現場も増え、厨房の床環境に対する意識は確実に変わり始めています。「後回し」にされがちな床だからこそ、早い段階で整備することで、他店との差をつけるきっかけにもなります。


衛生・安全・耐久性。そのすべてを考慮した厨房の塗床は、決して過剰な投資ではなく、必要な“設備強化”の一つです。現場の条件に合った素材・施工方法を選び、信頼できる施工業者とともに環境改善を進めていくことが、これからの飲食店経営には欠かせません。


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