工場の床に機械油や切削油がこぼれ、「掃除しても黒ずみが残る」「床がいつもベタついている」と困っていないでしょうか。
付着したばかりの油であれば、吸い取ったうえで床材に合った洗浄剤を使うことで落とせる場合があります。一方、コンクリートの内部まで油が染み込んでいる場合は、表面を洗うだけでは十分に除去できないことがあります。
油分が残った床は滑りやすくなるだけでなく、将来的に塗床工事を行う際の密着不良にもつながります。
この記事では、工場の床についた油汚れの基本的な掃除方法と、落ちない原因、油汚れを繰り返さないための対策まで解説します。
工場の床に油汚れがつく主な原因

工場の床に付着する油は、一つではありません。製造工程や使用している設備によって、油汚れが発生する場所や量も変わります。
工作機械から切削油や潤滑油が漏れている
製造工場では、工作機械で使用する切削油や潤滑油が床へ垂れることがあります。
少量でも毎日同じ場所へ落ち続ければ、床の表面だけではなくコンクリート内部まで油が染み込んでいきます。
機械の周辺だけ床の色が黒くなっている場合は、長期間にわたって油が付着している可能性があります。
フォークリフトや車両から油が落ちている
フォークリフトや工場内車両から、オイルなどが床へ漏れる場合もあります。
車両が頻繁に停車する場所や整備を行う場所では、局所的に油汚れが蓄積しやすくなります。
床についた油の上をタイヤが通ることで、周囲へ汚れが広がってしまうこともあります。
整備作業中に油がこぼれている
自動車整備工場や機械のメンテナンススペースでは、オイル交換や部品交換の際に油が床へこぼれることがあります。
作業直後に処理すれば比較的除去しやすいですが、放置するほどコンクリートへ浸透しやすくなります。
油を運ぶ動線に汚れが広がっている
油を扱う作業場所そのものではなく、作業員の靴や台車、フォークリフトのタイヤを通して別の場所へ油が広がることもあります。
「機械の周りだけ掃除しているのに通路まで黒くなる」という場合は、油を運んでしまう動線まで確認してみましょう。
工場の床についた油汚れを掃除する基本的な流れ

油汚れを掃除するときは、最初から水や洗剤で広げるのではなく、まず床面に残っている油を回収することが基本です。
まず床に残っている油を吸い取る
油がこぼれた直後であれば、ウエスや油吸着材などを使って、床面に残っている油をできるだけ回収します。
液体の油をそのままブラシでこすると、汚れていなかった場所まで広げてしまうことがあります。
まず余分な油を取り除いてから洗浄に進みます。
床材に使用できる洗浄剤を選ぶ
コンクリート床の油汚れには、工場床向けのアルカリ性洗浄剤などが販売されています。
サニクリーンでも、工場や倉庫などのコンクリート床に付着した油汚れを対象としたアルカリ性の床用洗浄剤が案内されています。
ただし、塗床や床シートなどが施工されている場合は注意が必要です。強い洗浄剤を使用すると既存の床材を傷める可能性があるため、床材と洗浄剤の適合性や製品の注意事項を確認してから使用します。
参照URL:サニクリーン「床用油洗浄剤」
ブラシなどで油汚れを浮かせる
床材に使用できる洗浄剤を塗布したら、製品の使用方法に従ってブラシや床洗浄機などで汚れを落としていきます。
油汚れ用の床洗浄剤では、洗浄剤を散布してブラッシングし、その後しっかりすすぐ方法が案内されている製品もあります。
汚れがひどいからといって、指定以上の濃度で使用すればいいわけではありません。希釈率や使用方法は製品ごとの指示を確認してください。
参照URL:サンエスエンジニアリング「フロアークリーンF1」
洗浄後は油分や洗浄剤を残さない
洗浄した後に油分や洗浄剤が床面へ残っていると、ベタつきや滑りの原因になります。
使用した洗浄剤の説明に従って水洗いや拭き取りを行い、床面に残留物を残さないようにします。
特に人やフォークリフトが通る場所では、清掃後に床が滑りやすくなっていないかも確認しましょう。
掃除しても油汚れが落ちないのはなぜ?
洗剤とブラシで何度掃除しても黒ずみが消えない場合、油が表面だけに付着しているとは限りません。
工場の床で多いのが、コンクリート内部への油の染み込みです。
コンクリートには油が染み込むことがある
コンクリートは表面が完全に密閉されている材料ではありません。
塗床などで表面を保護していない状態で油が長期間付着すると、内部へ染み込んでいくことがあります。
一度深く染み込んだ油は、表面を洗浄するだけでは完全に取り除けない場合があります。
油が染み込んでいる部分だけ色が残る
清掃後も黒や茶色の染みが残っている場合、コンクリート内部まで油が浸透している可能性があります。
ただし、見た目だけで浸透深さを判断するのは難しいため、床を改修する場合は実際の下地状態を確認します。
古い塗床の下まで油が入り込んでいることもある
塗床が剥がれていたりひび割れていたりすると、その隙間から油が入り込むことがあります。
表面の塗膜だけを新しくしても、下地側に油分が残っていると新しい塗床材が十分に密着しない可能性があります。
そのため、床改修では表面の見た目だけではなく、既存塗膜を撤去した後のコンクリートまで確認することが重要です。
油が染み込んだ床へそのまま塗装するのは避ける
油汚れが目立ってきた工場では、「掃除するより床を塗り直した方が早いのでは」と考えることもあります。
しかし、油分が残ったコンクリートへそのまま塗床材を施工すると、密着不良につながる可能性があります。
油分は塗床材の密着を妨げる
塗床工事では、コンクリートと塗床材をしっかり密着させる必要があります。
株式会社AIMでも、工場床補修の記事で、切削油や機械油が染み込んだコンクリートでは油分の処理が重要だと説明しています。
塗床材そのものを高性能なものへ変更するだけではなく、施工前に下地をどこまで整えられるかが重要です。
参照URL:株式会社AIM「工場床補修の超速硬化施工と耐久性の両立」
研磨や切削で油を含んだ表層を処理することがある
油が染み込んでいる場合は、床面の状態に応じて研磨や切削などを行い、油分を含んだ表層を処理することがあります。
どこまで下地処理が必要になるかは、油の染み込み具合や既存床の状態によって変わります。
単純に「表面を洗ったから施工できる」と判断せず、塗床業者に床を確認してもらう方が確実です。
油のある下地に対応する材料を検討する場合もある
現場条件によっては、油分の影響を考慮した下地処理材や工法を検討する場合もあります。
ただし、「油があっても施工できる材料を使えば下地処理は不要」という意味ではありません。
使用する材料の仕様と現在の床の状態を確認したうえで、必要な下地処理を決めます。
株式会社AIMでは、油汚れがひどかった整備工場の床をMMAペースト工法で改修した施工実績もあります。油汚れだけでなく、クラックや既存床の劣化まで含めて床全体を確認することが重要です。
参照URL:株式会社AIM「整備工場 MMAペースト工法」
「油汚れを掃除しても取れない」「この状態の床に塗床工事ができるか分からない」という場合は、現在の床を確認したうえで改修方法を検討できます。
工場の床に油汚れを繰り返さないための対策
油汚れは、汚れてから大がかりに掃除するより、床へ長時間残さない仕組みをつくる方が管理しやすくなります。
こぼれた油をすぐに処理できるようにする
コンクリートへの染み込みを抑えるには、油がこぼれた状態で長時間放置しないことが重要です。
油を使用する設備の近くにウエスや吸着材などを用意し、漏れたときにすぐ処理できるようにしておくと対応しやすくなります。
油漏れしている設備を確認する
床を何度清掃しても同じ場所だけすぐに汚れる場合は、設備側から継続的に油が漏れている可能性があります。
床の清掃とあわせて、機械やホース、配管など油の発生源も確認します。
原因を止めずに床だけ掃除しても、同じ汚れを繰り返してしまいます。
油を扱うエリアを決める
油を使用する作業を特定のエリアにまとめられる場合は、油汚れが工場全体へ広がりにくくなります。
作業場所や機械の周辺、フォークリフトの動線を確認して、汚れが広がりやすい場所を把握しておきましょう。
床の剥がれやひび割れを放置しない
既存の塗床が剥がれてコンクリートが露出している場所や、床にひび割れがある場所では、そこから油が入り込みやすくなります。
小さな剥がれだからと放置せず、傷みが広がる前に補修を検討することで、下地まで油が染み込むリスクを抑えられます。
油汚れを防ぎやすい工場床へ改修する方法もある
日常的に油を使用する工場では、毎回の清掃だけで対策するのが難しい場合があります。
コンクリート床の油汚れや摩耗、剥がれが繰り返されているのであれば、床そのものを見直すことも選択肢です。
塗床でコンクリート表面を保護する
コンクリートの上に塗床を施工することで、床表面を樹脂で保護できます。
油が直接コンクリートへ染み込む状態と比べて、表面の清掃や管理を行いやすくできます。
ただし、塗床材によって耐油性や耐薬品性、耐摩耗性などの性能は異なります。工場で使用している油や薬品、フォークリフトの走行状況などを確認したうえで材料を選びます。
油だけでなく摩耗や衝撃も考えて材料を選ぶ
製造工場や整備工場では、床へかかる負荷は油だけではありません。
フォークリフトの走行、工具や部品の落下、重量物の設置などがあるため、耐油性だけで床材を選ぶと現場に合わない可能性があります。
「どの油に強いか」だけではなく、実際に床がどのように使われているかまで施工会社へ伝えることが大切です。
既存床の油分を処理してから施工する
すでに油が染み込んでいる工場を塗床へ改修する場合は、施工前の下地処理が特に重要です。
既存塗膜の撤去や研磨、油分の処理、ひび割れや欠損の補修などを行い、新しい塗床材が密着できる状態へ整えます。
株式会社AIMでは、既存床の状態を確認したうえで必要な下地処理と塗床工法をご提案しています。
掃除で解決する床と改修した方がいい床を見極める
表面についたばかりの油汚れであれば、日常清掃で対応できるケースがあります。
一方で、何度掃除しても黒ずみが残る、コンクリートまで油が染み込んでいる、既存塗床が剥がれているといった場合は、清掃だけでは改善しにくくなります。
油汚れが繰り返されているのであれば、床の状態を一度確認し、補修や塗床工事まで含めて対策を考えた方がいいでしょう。
株式会社AIMは、工場・倉庫・整備工場などの塗床工事に対応しています。「油が染み込んでいて施工できるか分からない」「掃除してもすぐ汚れる」「既存の床が剥がれてきた」といった場合も、床の状態と使用環境を確認して工法をご提案します。

